日本取引所グループ(JPX)傘下のJPX総研はこのほど、暗号資産(仮想通貨)を主たる資産として保有する企業の株式を東証株価指数(TOPIX)などの指数に新規追加することを当分の間見送る方針を示した。対象は総資産の50%超を暗号資産で保有する企業とされ、意見募集(指数コンサルテーション)を経て同年10月に正式適用が予定されている。株式指数の投資機能性と安定性の維持が主な目的だ。
JPX総研が公表した「特別注意銘柄等の取扱いについて」と題する文書によると、特定の資産を主たる保有対象とする銘柄が日本においても近年増加しており、その株価が当該資産の価格変動に連動しやすい構造的な問題が指摘されてきた。指数への組み入れ後に取り扱いを変更すると、連動運用(パッシブ運用)ファンドへの影響が大きいことから、新規追加の段階で慎重な判断が必要と判断した。
同社はこの方針の背景として、世界的な株価指数を提供するMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)など海外主要指数においても、暗号資産保有企業の新規追加を見送る動きや関連する検討が進んでいることを挙げた。MSCIは2026年2月の見直しにおいて、総資産の50%以上を暗号資産で保有するストラテジー社などを指数から除外する案を検討したが、最終的には実施を見送っている。日本国内では、メタプラネットなど複数のビットコイン財務戦略を採用する上場企業が台頭しており、JPXとして対応方針を明確にする必要性が高まっていた。
今回の方針が適用されるのは、TOPIXのほか定期入替を実施するその他の指数も含む。一方で、すでに各指数の構成銘柄となっている既存銘柄には遡及適用しないことが明示されており、あくまでも新規追加の可否を制限するものとなる。
意見募集(指数コンサルテーション)の受付期間は2026年5月7日まで。その後、最終的な方針が確定した場合は同年10月からルールを適用する計画だ。「主たる資産として保有」の具体的な基準は文書中に詳述されていないが、報道によれば総資産比で50%超を暗号資産が占める企業が想定されている。
JPX総研は今回の措置について、指数の投資機能性と安定性の維持が目的であると説明しており、暗号資産市場の価格変動性がパッシブ運用ファンドのパフォーマンスや連動精度に及ぼすリスクを抑制する観点から対応を決めた形だ。JPXの山道裕己グループCEOは昨年11月の時点で、上場後に事業内容が大きく変容している企業事例が増加していると問題提起しており、今回の方針はこうした懸念への実務的な対応の一環とも位置付けられる。


