仮想通貨取引の世界では、中央集権型取引所(CEX)と分散型取引所(DEX)を使い分ける個人投資家が増えています。 しかし、両者を行き来しながら資産を管理することには手間やリスクが伴います。
実際、CEXは使いやすい反面扱える資産が限定され、DEXはあらゆるトークンにアクセスできる一方で操作が難しく、トランザクション失敗時に数十ドル以上の手数料が無駄になるケースもあります。
さらに、FTX破綻など過去の事件以降、CEXへの信頼低下からDEXに資金を移す動きも見られました。事実、2025年には暗号資産スポット取引量の約20%がDEX経由となり、2024年の約10%から倍増しています。
とはいえ完全にCEXを手放すには至らず、多くの投資家が慣れたCEXの利便性とDEXの自由度の間で揺れ動いているのが現状です。
こうした状況で、自分の資産をどこでどう管理すべきか悩む投資家も少なくありません。
この記事では、まずCEXとDEXの違いを5つの視点から整理し、それぞれの強みと課題を明らかにします。その上で、新たな選択肢として注目されるUEX(Universal Exchange)とは何かを専門的に解説し、CEX・DEX・UEXの役割分担や資産運用戦略、そして今後の展望について考察します。
CEXとDEXの違い・それぞれの強みと課題(5つの視点)
中央集権型取引所(CEX)と分散型取引所(DEX)は一見同じ「取引所」に分類されますが、仕組みやユーザー体験、リスクが大きく異なります。ここでは5つの視点からCEXとDEXを比較し、それぞれの強みと弱みを整理します
(※いずれもメリットとデメリットがあり、優劣というより「向き・不向き」の問題という点に注意してください。)
- 安全性・リスク管理
- CEX:
取引所に資産を預けるため、ユーザー自身が秘密鍵を管理する必要はなく紛失リスクは低減される。一方で、資産は取引所の管理下に置かれるため、プラットフォームそのものの破綻やハッキング時にはユーザー資産が危険にさらされる。
- DEX:
ユーザー自身が秘密鍵を保有しウォレットで資産管理を行うため、取引所破綻による資産消失リスクはない。ただし「自分の鍵」は自分で守る責任が伴う。
- 資産カバレッジ(一元管理できるか)
- CEX:
多くのCEXは暗号資産の取引に特化しており、法定通貨との出入金や一部ステーキング商品は扱えるものの、株式やコモディティ(金など)といった他資産は別の口座に頼る必要がある。
複数の資産クラスを保有する投資家にとって、CEX単体ではポートフォリオ全体を一元管理できないという制約がある。
- DEX:
DEX上では原則としてブロックチェーン上のトークン化された資産しか扱えない。また異なるブロックチェーン間で資産を動かす際にはブリッジを使う必要があり、チェーンごとに資産や流動性が分断されることがある。
- ツール・情報効率(取引機能やAI活用を含む)
- CEX:
中央集権型ならではの高度な取引機能とユーザーエクスペリエンスが強み。多くのCEXは洗練されたUIを持ち、板取引や指値・逆指値注文、先物取引、チャート分析ツールなどがプラットフォーム内に統合されている。
一部の取引所ではマーケット情報の提供や、自社トークンを使ったIEO/ローンチパッド(新規トークン販売)など情報面・収益機会の提供も行われている。
- DEX:
DEX自体の機能はシンプルで、ウォレットを接続してトークンスワップを行うだけのものが主流。高度なトレード戦略(証拠金取引や複雑な注文など)を実現するにはDeFiプロトコルを組み合わせる必要がある。
情報面でも、オンチェーン上の動向を追うにはブロックエクスプローラーやDune Analytics等の外部ツールを駆使する必要があり、専門知識が要求される。
- リターン機会と運用スタイル(収益構造の違い)
- CEX:
CEXで得られる主なリターンは、現物取引や先物取引による売買差益。加えて、一部のCEXはステーキングやレンディングサービスを提供しており、保有通貨に年数%程度の利息を付けることも可能。
- DEX:
DEXを活用することで得られるリターン機会は多彩。また流動性提供(LP)やイールドファーミングによって年利数十~数百%の高APRを獲得するケースもある。
ただし、これらの高リスク・高リターンな機会を得るには相応の知識と積極的な運用が必要。
- 規制対応・長期存続性
- CEX:
CEXの運営母体は各国の規制当局の監督下にあり、ライセンス取得やKYC(本人確認)、AML対策などコンプライアンス対応が求められる。規制に準拠した運営はユーザーに一定の安心感を与える一方、国ごとに提供サービスが制限されるデメリットもある。
- DEX:
DEX自体はブロックチェーン上のスマートコントラクトで動作するため、たとえ運営チームが解散してもプロトコル自体は残り続けるという強みがある。
一方で、DEXのガバナンストークンの価値低下や開発コミュニティの縮小によって、プロジェクトが事実上終息してしまうケースもある。
以上のように、CEXとDEXは安全性や利便性、扱える資産範囲、得意な運用スタイルなどあらゆる面で対照的です。それぞれ優れた点と弱点を持ち、どちらか一方で全てのニーズを満たすことは困難です。
実際、多くの投資家は日常的なトレードはCEXで行い、新規プロジェクトへの投資や高利回り追求はDEXで行うといった形で両者を併用しています。しかしその場合でも、資産が分散しすぎて管理が煩雑になったり、送金に時間とコストを取られるといった非効率が生じます。
こうした「CEXとDEXの隙間」を埋めようという発想から生まれたのが、次に述べるUEX(Universal Exchange/ユニバーサルエクスチェンジ)という新しいモデルです。
UEXとは何か?──新たな選択肢としてのUniversal Exchange
UEX(ユニバーサルエクスチェンジ)とは、中央集権型と分散型それぞれの長所を融合し、伝統的な金融資産も含めてあらゆる資産を一つのプラットフォームで取引できるようにした次世代の取引所モデルです。
端的に言えば、「CEXの使いやすさと流動性、DEXの資産多様性、さらには株式や商品など従来金融の領域をも一つにまとめた取引インフラ」と表現できます。
ユーザーは単一のアカウントで暗号資産から株式、ETF、為替(FX)、金や不動産といった実物資産のトークンまで扱うことが可能になり、従来は別々だった市場へのアクセスがシームレスに統合されます。
UEXの代表的な特徴をまとめると以下のようになります:
- 複数資産の統合取引:
暗号資産だけでなく、株式のトークン(米国株の価格に連動するデリバティブなど)、コモディティ(ゴールド等)や法定通貨建て資産、不動産や知的財産のRWA(現実資産トークン化)まで、様々なアセットクラスを一つの口座で売買可能にする。
- 資産・リスクの一元管理:
複数の資産クラスを扱うだけでなく、ポートフォリオ全体を一括管理できるよう設計されている。
言わば、UEXは暗号資産版のプライベートバンキング口座のような「包括的な投資ダッシュボード」を提供するもの。
- 高度なツール統合と情報効率:
UEXでは、取引に付随する各種ツールや情報源がプラットフォーム内に統合されている。具体的には、市場ニュースや分析レポートの閲覧、ポートフォリオ分析、自動取引執行などをワンストップで行える環境を整備。
例えばBitgetのUEXには「GetAgent」というAIトレーディングアシスタントが組み込まれており、ユーザーの会話形式の指示に基づいて市場分析や注文執行を自動で行う。
- 多層的なセキュリティと保護機能:
扱う資産が増える分、セキュリティ対策も強化されている。UEXではハイブリッドカストディ(保管体制)が採用され、ユーザーがコントロール可能なオンチェーン保管と取引所によるオフチェーン保護を組み合わせることで、安全性と利便性のバランスを取っている。
- 長期運用前提の設計:
UEXモデルは短期的なキャンペーンよりも「金融インフラとして継続性を重視」して設計されている。分散型プロジェクトのように流行の移り変わりに左右されにくく、数年先も残り続けることを前提としたサービスを提供。
こうしたUEXの概念はまだ新しく、実装している取引所は限られますが、このUEXモデルを掲げるプレーヤーの一例がBitgetです。
シンガポールを拠点とするグローバル取引所Bitgetは、2025年9月にサービス開始7周年を機にUEXへの転換を発表し、自社プラットフォームを世界初の本格的ユニバーサル取引所へとアップグレードしました。
BitgetのUEXでは、暗号資産現物・先物に加えて米国株のトークン化資産や商品(金)連動資産の取り扱いを拡充しており、前述のAIアシスタント「GetAgent」による自動取引支援、7億ドルのユーザー保護基金による高い安全性確保など、UEXの特徴を具体的なサービスとして提供しています。
Bitget以外にも今後同様のコンセプトを掲げる取引所が増える可能性があり、UEXは「CEX vs DEX」の二項対立に次ぐ第3の選択肢として注目されています。
UEX・CEX・DEXを5つの視点で比較しそれぞれの役割を考える
UEXが登場したことで具体的に何が変わるのでしょうか。ここでは再度先ほどの5つの視点にもとづき、今度はUEX・CEX・DEXの三者を横並びで比較してみます。
同時に、3つのタイプの「役割分担」について考えてみましょう。CEX/DEXだけではカバーしきれなかったグレーゾーンを、UEXがどう埋め得るのかが見えてきます。
- 安全性・リスク管理
- CEX:
ユーザーは秘密鍵管理を取引所に任せられるため手軽だが、カストディリスクは常につきまとう。証拠金や資産証明の公開など信頼性向上策は進んでいるものの、依然として破綻・流出リスクはゼロではない。
- DEX:
自己管理による高い自主性が魅力で、取引所破綻による資産消失は避けられる。
ただしスマートコントラクトのバグや秘密鍵管理の失敗といったユーザー側リスクは残る。また大規模なハッキング被害が起きても公的な補償は期待できない。
- UEX:
信頼性の面でCEX型の対策(資産証明や保護基金、KYCによる本人確認)を備える一方、DEXの世界で培われたオンチェーン技術も活用したハイブリッドなリスク管理を行う。
UEXは「CEX並みのセキュリティ基盤+ユーザー主導の管理権限」を両立し、長期的に信頼できるインフラを目指している。
- 資産の一元管理(カバレッジ)
- CEX:
暗号資産の主要銘柄こそ網羅しているが、他分野の資産は対応が限定的。例えば株やゴールドは別途証券会社や商品取引口座が必要になるため、ユーザーは複数口座を併用して全体資産を管理しなければならない。
- DEX:
暗号資産領域では膨大なトークンにアクセスできるが、チェーンごとに資産が点在しがち。また法定通貨や現物資産への直接アクセスは基本的にできない。
- UEX:
暗号資産から株式・商品まで「資産全体」を一つの口座で俯瞰できるのが最大の特徴。例えばBitget UEXでは、ビットコインやイーサリアムだけでなくTeslaやAppleの株価連動資産、金や原油のトークン、さらには米ドルのステーブルコインまで一元管理できる。
- ツール・情報効率
- CEX:
取引板や高機能チャートなどツールが充実しているが、情報源は取引所内のお知らせや限定的な分析ツールに留まりがち。
- DEX:
プロトコル自体はシンプルゆえに追加機能は少なく、情報もユーザーが外部から収集する必要がある。複数のサイトやツールを駆使する手間が発生し、効率的とは言えない。
- UEX:
ニュースの集約・分析・自動執行といった機能をワンストップで提供し、時間のない個人投資家を包括的にサポート。
UEXはCEXの利便性とDEXのオープンな情報環境の“美味しいとこ取り”を図りつつ、独自にAI技術を組み合わせることで個人投資家の意思決定を効率化。
- リターン機会(収益構造)
- CEX:
主な収益源はトレードによる利益やステーキング利息だが、これは言わば「ベーシックな運用」。IEOや期間限定キャンペーンもあるが、得られるリターンは限定的で安定志向。
- DEX:
エアドロップ獲得やDeFiでの高利回り運用など尖ったリターン機会がある。ただし成功するには目利きと迅速な行動が求められ、ハイリスクでもある。
- UEX:
長期的かつ安定的なリターン商品と、ポイント還元や優遇プログラムを組み合わせた土台を提供。
例えば、Bitgetの「Onchain」機能では主要ブロックチェーン上の新規トークンを自動検知し、ローンチ直後から取引所UIで購入できるようにしている。
- 規制対応・長期存続性
- CEX:
各国の規制に従いライセンスを取得して運営されます。規制対応に優れた取引所ほどグローバル展開しやすく、長期的にも生き残りが期待できます。ただし地域規制の差で提供サービスが異なる場合もあり、一部ユーザーにとっては使い勝手にばらつきがあります。
- DEX: プロトコル自体は残るものの、開発チームやコミュニティが消滅すれば事実上アップデートが止まり陳腐化する恐れがあります。また法規制が整備されれば、将来的に匿名での利用が難しくなる可能性もあります。長期視点では不透明要素もあります。
- UEX:
初めから「数年先も金融インフラとして残ること」を前提に設計されている。実社会の規制枠組みに沿った運用(KYC/AMLや外部監査等)を行い、各国当局とも連携しながらサービスを提供。
UEXは暗号資産業界における「次世代の銀行」とも言えるポジションを目指しており、規制当局とも協調しつつ持続可能なモデルを追求。
以上の比較から明らかなように、UEX・CEX・DEXの三者はそれぞれ強みと弱みが異なり、お互いに競合するというより補完し合う関係に近いことが分かります。
CEXの手厚い保護と利便性、DEXの先進的な機会と自由度、そしてUEXの包括性と安定性は、組み合わせることで相乗効果を発揮する可能性があります。
次の章では、実際に個人投資家がこれら3種の取引所をどう使い分ければ良いか、資金レイヤー別に戦略を解説していきます。
投資家の資金戦略:資金レイヤー別の使い分け提案
「結局、自分の資産はどこに置いて運用すればいいのか?」――CEX・DEX・UEXそれぞれの特徴を踏まえ、悩む投資家も多いでしょう。極端に「全部UEXに乗り換えるべき」「いや、やはりDEXこそ至高だ」と結論づけるのは適切ではありません。
むしろ重要なのは資金の性質や目的に応じて使い分けることです。ここでは個人投資家向けに、資金をいくつかのレイヤー(層)に分けて管理する戦略の一例を示します。
- 第1レイヤー:生活防衛資金(流動性重視・リスク極小)
日常の生活費や緊急予備資金にあたる部分。この資金は値下がりリスクを極力避ける必要があるため、銀行預金や現金で保有しておくのが基本。
暗号資産取引所で運用する資金とは切り離し、万一マーケットが大暴落しても生活に支障が出ないよう確保しておく。
- 第2レイヤー:中長期の運用資産(安定成長枠)
こちらが暗号資産を含む投資運用の主力となる資金。メイン口座としてUEXまたは信頼できるCEXを活用し、長期的な資産成長と多資産分散を図る。ここでは「守りながら増やす」戦略が中心となり、リスク管理を徹底しつつマーケット全体の成長を取り込むことを目指す。
- 第3レイヤー:チャレンジ枠(高リスク・高リターン追求)
ポートフォリオの中で余裕資金の一部を充てる、高リスク承知でリターンを狙う枠。この部分ではDEXや新興DeFiプロトコルの活用が鍵となる。
具体的には、有望な新規プロジェクトのトークンをいち早く購入したり、各種レンディング・流動性マイニングで高利回りを狙う、またエアドロップ企画に積極参加するといった戦略。
(※上記の比率や戦略はあくまで一例であり、各個人のリスク許容度や資産状況に応じて調整する必要があります。本記事の内容は特定の投資アドバイスではなく、一般的な考え方の提示です。)
このように資金をレイヤー分けして運用することで、普段はUEX/CEXを土台に資産を着実に運用しつつ、余裕資金でDEXの機会も拾っていくというバランスが取れます。
UEXは「DeFi(DEXによる分散型運用)をやめてしまえ」というものではなく、むしろ「メインの資産をどこで守りながら増やすか」という問いに対する新たな解として機能します。CEX・DEX・UEXの三者は敵対関係ではなく、それぞれ得意分野が異なるため上手に役割分担させるのが賢明です。
例えば、CEX/UEXで資産の大黒柱を安定運用し、DEXで将来の種を蒔くというイメージです。こうした使い分け戦略により、これまで二者択一だった選択肢が統合的なポートフォリオ戦略へと昇華されます。
今後の展望:規制・トークン化時代における取引所の在り方
暗号資産業界を取り巻く環境は今後数年で大きく変化すると予想されます。
UEXはまだ始まったばかりの概念ですが、その利便性と包括性から考えて、ユーザーが求める「シンプル・安全・多様な取引体験」の延長線上にあるとの見方もあります。
ただし、UEXが真の意味で現在のCEX・DEX双方を置き換えるまでには課題も残ります。技術的には複数ブロックチェーンや従来市場との接続を安定的に維持する必要があり、法的には各国の規制を跨いだサービス提供をクリアする必要があります。
またユーザー教育の面でも、新しい統合プラットフォームに慣れていく必要があります。そのため当面はCEX・DEX・UEXが三者併存する形が続く可能性もあります。その中でユーザーは、自身のニーズに合わせて最適なプラットフォームを選択・組み合わせていくことになります。
結論として、CEX・DEX・UEXのいずれも投資家にとって有用なツールであり、「どれが正解」というよりは「それぞれを適材適所で使う」のがこれからの資産運用の鍵となります。
UEXという新しい選択肢が登場したことで、従来二分されていた取引所の世界は大きく広がりつつあります。
今後ますます規制が整備されトークン化が進む時代において、取引所は単なる「売買の場」ではなく、総合的な金融ハブへと進化していくはずです。その中心的存在として、UEXモデルがどれほど定着し発展していくか注視されます。
>>最新の仮想通貨ニュースはこちら
Bitget関連の注目記事はこちら
【Bitget CEO独占インタビュー】2025〜2026年の暗号資産市場見通し|マクロ環境と成長セクターを語る
Bitget「BWBとBGBの統合・BGBの大規模バーン」発表|価格上昇率は1,300%超え
Bitget:World Chain経由のワールドコイン(WLD)入金に対応
サムネイル:Bitget提供