暗号資産(仮想通貨)市場は、2025年に見られた爆発的な投資拡大を経て、2026年に向けて新たなステージに移行しようとしている。暗号資産メディア「DL News」による著名なベンチャーキャピタル5社への取材により、暗号資産市場が実用性と法的裏付けを重視した健全な構造へと進化を遂げる未来像が明らかになった。
コインベース・ベンチャーズの責任者フーリー・テジュワニ氏は、パーペチュアル取引が今や、現実資産(RWA)に紐づく「合成市場の形成」にシフトしていると指摘。暗号資産の強みは24時間365日のグローバル市場を可能にすることだとし、トークン化して取引できるものは今後すべて市場化されていくとの見方を示した。
一方、金融インフラとしての進化に注目するのが、ギャラクシー・ベンチャーズのマイク・ジャンパパ氏だ。同氏は米ドルに連動するステーブルコインの普及を、今後10年から20年に及ぶ長期トレンドになると予測。さらに、既存の金融機関が海外送金や資産管理等のブロックチェーン対応製品を市場に投入している点を指摘し、2026年が機関投資家によるブロックチェーン採用の真の転換点になると強調した。
また、規制環境の整備も市場の成熟を後押しする要因だ。OKX・ベンチャーズのジェフ・レン氏は、米国や欧州で法整備が進んだことで、銀行や証券会社がトークン化した金融商品を提供する心理的な壁が大きく下がったと強調。2026年に向かう投資マネーは暗号資産単体ではなく、他の金融分野と相互に連携できる技術基盤へ流れていくとしている。
さらに、新興市場と消費者向けアプリの進化も見逃せない。CVラボのフランチェスカ・コンティ氏は、アフリカなどの新興市場で実社会に根ざしたブロックチェーン活用が広がる可能性を指摘。モーニングスター・ベンチャーズのペトル・マルティノフ氏は、利用者が暗号資産を意識せずに使える直感的なアプリこそが、次の普及段階を切り開くと見ている。
これらの見解が示すのは、暗号資産が投機対象から社会基盤へと役割を変えつつある現実だ。2026年では短期的な熱狂ではなく、長期的な価値創造を見据えた取り組みこそが市場の次の成長を形成していくことになりそうだ。
関連:暗号資産デリバティブ市場、85.7兆ドル規模に到達──Binance・CME・Hyperliquidが主導し機関マネー流入
関連:ビットコイン、26年上半期に15万ドル視野──ETF流入と機関投資家買いが背景


