デビッド・ベッカム(David Beckham)氏が共同創業したヘルスケア企業、Prenetics Global(プレネティクスグローバル)は12月30日、資本配分戦略の見直しを発表し、ビットコイン(BTC)の追加購入を停止すると明らかにした。
今後は、同社が展開するプレミアム・ヘルスケアブランド「IM8」に経営資源を集中する。すでに2025年12月4日付で、日次のビットコイン購入は停止しているという。現状の保有分である510BTC(約4500万ドル、約70億円)については、準備資産として引き続き保有する。
既存事業の好調が背景
今回の戦略転換の背景には、IM8事業の急成長がある。Preneticsによると、IM8はローンチから11カ月で年間経常収益(ARR)1億ドルを突破。2026会計年度(FY2026)の売上高は、1億8000万〜2億ドルに達する見通しだ。
同社は「既存資本および新規資本を、追加のビットコイン取得には一切充当しない」としており、今後の資本配分は、製品開発、ブランド構築、人材採用、運転資金、国際展開などに充てる予定だ。
Preneticsは今回の決定について、「戦略的な明確性を高め、規律あるガバナンスを強化し、株主の優先事項と完全に整合するもの」と説明している。
ビットコインをバランスシートに組み入れる上場企業が注目を集める一方で、事業の急成長を背景に暗号資産投資から距離を置く判断は対照的だ。Preneticsの動きは、企業が暗号資産をどのように位置づけ、どこまでを本業と切り分けるのかという点で、示唆的なケースといえる。
なお同社は、デビッド・ベッカム氏が共同創業者であり、テニス世界ランキング1位のアリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka)氏がアンバサダーを務めるなど、著名人の関与でも注目を集めている。
|文:NADA NEWS編集部
|画像:Preneticsのウェブサイト(キャプチャ)

