米国の仮想通貨運用会社Bitwise(ビットワイズ)のCIOであるマット・ホーガン氏は2026年1月6日、仮想通貨市場が持続的な上昇局面へ移行するために満たすべき3つの条件を示しました。
同氏は、短期的な価格変動ではなく市場構造の観点から「仮想通貨市場全体の安定性」「株式市場の落ち着いた推移」および「米国における仮想通貨関連の法整備の進展」が重要だと指摘しています。
これら3つの条件は、それぞれが独立して機能するものではなく、市場構造・規制環境・マクロ要因が同時に整うことで、投資家のリスク許容度が段階的に高まると分析しています。
ホーガン氏は、条件が満たされた場合にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった主要銘柄を中心に長期資金の流入が進み、強気基調が下支えされる可能性があるとの見解を示しました。
「2026年は新たな成長フェーズ」
仮想通貨市場「2026年は新たな成長フェーズ」停滞の裏で進んだ2025年の構造転換|パンテラ分析
ホーガン氏が最初に挙げた条件は、仮想通貨市場において再び大規模な破綻や急激な価格崩壊が発生しないことです。
特に2025年10月10日に発生した大規模な清算事象では、レバレッジ取引を中心に約190億ドル(約3兆円)相当のポジションが短時間で強制清算され、ビットコイン価格も当時の高値であった約12万6,000ドルから急落しました。
この出来事は市場参加者に強い警戒感をもたらし、大手マーケットメーカーやヘッジファンドの財務健全性に対する懸念が広がった結果、資産の防衛的な売却が相次ぎ、第4四半期(10〜12月)の相場回復を鈍らせる要因となりました。
こうした警戒感が広がった中で、ホーガン氏は「仮に致命的な経営破綻が存在していれば年末までに顕在化していたはずだ」と述べ、連鎖的な破綻が確認されなかった点を重視しています。
2026年初頭にかけて市場は徐々に落ち着きを取り戻しており、当時の清算リスクはすでに織り込まれたとの見方が広がっています。
ホーガン氏は、この条件についてはすでに一定程度クリアされたとの認識を示しており、新年以降の価格回復の背景には、こうした市場心理の改善があるとしています。
2つ目の条件として挙げられたのが、米国における仮想通貨の市場構造「CLARITY法案」の成立に向けた進展です。
ホーガン氏は、この法案を米国の仮想通貨産業の将来を左右する重要な分岐点と位置付けています。
同法案は、デジタル資産が証券に該当するのか、商品として扱われるのかという法的区分を明確にし、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)の管轄整理を行うことを目的とした包括的な内容となっています。
米下院では2025年7月に超党派の支持を得て可決されたものの、上院ではDeFi(分散型金融)やマネーロンダリング対策を巡る条項を中心に調整が難航しており、最終的な成立は2026年に持ち越されています。
現在は上院銀行委員会と農業委員会が草案のすり合わせを進めており、1月15日にも修正協議(マークアップ)が実施される見通しです。
ホーガン氏は、マークアップを通過すれば法案成立に向けた重要な前進になると述べる一方、11月の中間選挙を控える中で法案審議に時間的制約がある点にも言及しています。
また、現政権下で進められてきた仮想通貨に比較的前向きな規制姿勢についても、法的裏付けがなければ次期政権で後退するリスクがあると警鐘を鳴らしました。
3つ目の条件としてホーガン氏が挙げたのが、株式市場が大きな混乱なく安定した推移を維持することです。
仮想通貨は株式市場と必ずしも完全に連動する資産ではないとしつつも、ホーガン氏は「S&P500指数が20%規模で急落するような局面では、リスク資産全般に対する投資意欲が低下し、仮想通貨もその影響を免れない」と指摘しています。
一方で、株式市場が急騰や急落を伴わず、比較的安定した環境が続けば、投資家はより高いリターンを求めて仮想通貨市場に資金を振り向けやすくなると分析しています。
市場関係者の間でも同様の見方が広がっており、株式市場が一定の水準を維持することが、仮想通貨への資金流入を後押しするとの声が聞かれます。
ホーガン氏自身は株式市場の専門家ではないとしつつも、足元で指摘されるAI(人工知能)関連銘柄の過熱感については認識を示しています。
ただし、複数の市場予測では2026年に米国経済が景気後退に陥る確率は低いとされており、S&P500指数も約80%の確率で上昇が見込まれている点から、現時点では深刻な下振れリスクは限定的との見方を示しました。
こうした見通しを示しつつも、ホーガン氏はこの条件について「黄信号で注意が必要な段階だ」と評価しています。
仮想通貨市場が単独で強気相場を維持することは難しく、マクロ環境、とりわけ株式市場の動向を注視する必要があるとの立場を崩していません。
今後の金融政策や企業業績次第では、リスク資産全体の評価が変化する可能性もあり、慎重な見極めが求められる局面が続くとしています。
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2026年の仮想通貨市場見通し、Bybitが示す主要テーマと価格形成の新要因とは
ホーガン氏は、これら3つの条件を「2026年の仮想通貨ラリーが本格化するためのチェックポイント」と位置付けています。
同氏は、すべてが順調に満たされれば年初から見られる価格上昇の流れは一過性のものではなく、より長期的なトレンドとして定着する可能性があるとの見方を示しました。
足元では、現物ビットコインETFへの継続的な資金流入や、決済・送金分野を中心としたステーブルコインの利用拡大など、市場の成熟を示す動きも確認されています。
2026年に入ってからの価格動向を見ると、ビットコインは記事執筆時点で年初来約3%上昇し、イーサリアムも同程度の上昇率を記録しています。
ドージコイン(DOGE)に至っては年初来で約22%の上昇となり、リスク選好の回復を示す動きも見られました。
足元では調整局面もあるものの、1月8日時点でビットコインは約9万ドル(約1,410万円)前後で推移しており、先週には一時94,000ドル台を付ける場面も見られました。
複数の大手資産運用会社は、従来の「4年周期」にとらわれない新たな相場局面に入る可能性を指摘しています。
Grayscale(グレースケール)のリサーチ部門は、機関投資家の資金流入や規制環境の明確化といった構造的要因を背景に、ビットコインが2026年に過去最高値を更新する可能性があるとの見方を示しています。
ただし、こうした見通しには短期的な価格変動が伴うことも想定されており、市場参加者は引き続き規制動向やマクロ環境を注視する必要があるとされています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.78 円)
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Source:Bitwise分析
サムネイル:AIによる生成画像


