英フィナンシャル・タイムズは27日、Tether社が完全な独立財務諸表監査の実施に向け、ビッグ4の一角であるKPMGを初の正式監査法人として起用したと報じた。暗号資産市場での信頼性確保に向けた重要な一歩。
ステーブルコイン発行元であるTether社は、3月24日に監査法人の名前を明かさずこの起用を発表した。また、PwCもレビュー前に内部統制を強化する目的で起用された。
TetherのUSDTは時価総額が1840億ドルを超え、デジタル資産市場の基軸通貨となっている。だが、同社は2014年の創設以来、完全な監査を一度も完了していない。
過去にはBDO Italiaが四半期ごとに予約残高を特定日の時点で確認する報告書を公表していた。ただし、これらのスナップショット報告では、内部統制や日常運用、リスクへの継続的な対応などは検証されていなかった。
2021年、米商品先物取引委員会(CFTC)はTether社がドル準備に関して誤解を招く説明をしたとして4100万ドルの罰金を科した。また、2018年にも監査の試みがあったが、監査法人が関係を解消したことで頓挫した。
この監査はTether社のさらなる拡大戦略を後押しする。同社はトランプ米大統領が昨年7月に署名したGenius Actに基づき、米国での事業拡大を推進中。また、米国拠点のステーブルコインUSATも立ち上げている。
フィナンシャル・タイムズ紙は以前、Tether社が5000億ドルの評価額で150億~200億ドルの資金調達を目指していたと報じた。だがこの高い評価額や規制リスクを投資家が指摘した。
KPMGは金融サービス業界の監査で大きなシェアを持つ。Tether社は昨年、KPMGカナダ法人のデジタル資産専門家を内部監査責任者としても採用した。
監査が成功裏に完了すれば、ステーブルコインの透明性評価における規制当局や金融機関の見方を一変させる可能性がある。ただし、結果が公表されるまでには時間を要する見通し。


